さらに今回の調査は、いまだ少数民族との対立が続くカチン州やカレン州の一部では、調査員が立ち入りを許されなかったことなどから行われていない。
こうした少数民族、とくに中央政府と対立している民族にとっては、正確な人数を知られることは不利になるため、調査に応じていない地域も多いという。移民・人口問題省は、調査できていない地域の人口を約120万人としているが、実際にはそれ以上の人々が住んでいる可能性もある。
さらに、ムスリム系住民(イスラム教徒)と仏教徒の対立が続くラカイン州では、ムスリム系住民で自らをロヒンギャと名乗る人々については、もともと政府が不法滞在者としていることから、カウントしていないという。地元メディアによると、12年からの仏教徒との衝突で、国外追放されたロヒンギャは14万人に上るという。
◆選挙の正当性に疑問
一方、都市部の人口については、最大都市のヤンゴンが520万9541人、次いでマンダレーが122万5133人、首都ネピドーが115万8367人となっている。
今回の国勢調査結果は、来年末に予定される総選挙を前に、現在進められている選挙制度改革に大きな影響を及ぼすのは必至だ。来年の総選挙では比例代表制が導入される方向だが、野党の国民民主連盟(NLD)などはこれに反対し、現在の小選挙区制の維持を求めている。
ただ、どちらの選挙制度にしても各地域の人口構成や民族構成がどうなっているのかを知ることは、選挙対策上、重要な問題だ。
08年の総選挙は与党が圧勝したが、10年の補欠選挙ではNLDが圧勝している。ただ、いずれも1000万人近く多い推定人口に基づいて行われた選挙だったことになり、選挙そのものの正当性が問われかねない。
今後、ミャンマー国内では、早期に国勢調査の結果を発表するとともに、それを基にした選挙準備を進めるよう求める声が一段と強まりそうだ。(編集委員 宮野弘之)