路線を次々と拡大しているタイ・エアアジアXの旅客機(写真は同社HPから)【拡大】
タイ航空が再建策の柱の一つに打ち出しているのが、皮肉にも同社が経営難に陥る元凶となったLCCへの進出だ。子会社のLCCタイスマイルの拠点を、現在のスワンナプーム国際空港から運営コストが安いドンムアン空港(旧国際空港)に移転すると決めた。競争が激しくなった路線には、LCC機を充てていく。
◆低価格で攻勢
一方、飛ぶ鳥を落とす勢いなのがパイロットの集団転職で注目を集めるタイ・エアアジアX。9月からバンコク-成田間で毎日運航便を新設した。週5便の関西便も同時就航だ。バンコク-成田便は従来の一般的な航空運賃に比べ30%以上も安くなる。エアアジア・グループは、タイ国内路線や東南アジアの主要都市を結ぶ新路線も積極的に開設しており、安価な料金と広範囲なネットワークで日本や中国などからの顧客の取り込みを急速に進めている。
その他のLCCも攻勢を強めている。タイ航空も出資するノックエアは、シンガポール航空傘下のスクートと合弁でノックスクートを設立。来年早々にも日本便を開設する。
豪カンタス航空傘下のジェットスター・アジアは、6月からバンコク-福岡便の運航を開始した。この影響を受けて、同便を毎日運航させていたタイ航空は9月からの減便を決めた。
東南アジア各地を結ぶLCC機の就航も相次いでいる。ベトナムのベトジェット・エアは9月からバンコク-ホーチミン便を増便したほか、新たな合弁LCCを設立してタイ国内路線にも進出する。ミャンマーのゴールデン・ミャンマーも、ヤンゴンとチェンマイを結ぶ新路線を9月中にも開設する計画だ。
パイロット獲得競争を引き起こすほど過熱するLCC競争。経済成長の続くタイ、そして東南アジア諸国連合(ASEAN)市場の現在の縮図とも言えそうだ。(在バンコク・ジャーナリスト 小堀晋一)