タイは、2015年に予定される東南アジア諸国連合(ASEAN)の市場統合、ASEAN経済共同体(AEC)の発足に向け、インフラ整備の遅れに危機感を訴える声が上がっている。政変によって国軍主体のプラユット暫定政権が誕生した今こそ準備を劇的に進めていく好機だとする意見も出始めた。現地紙バンコク・ポストなどが報じた。
同国は昨年から続いた政治混乱が今年5月に政変へと発展し、国軍が政治の全権を掌握した。軍政下で来年度(14年10月~15年9月)予算を成立させ、8月には軍政トップのプラユット陸軍司令官が暫定首相に就任するなど、これまでのところ安定した状況が続いている。
新政権は遅れが指摘されるインフラ整備を進めることを目的に、総額2兆5000億バーツ(約8兆4500億円)規模の輸送・物流インフラ整備計画を策定した。同計画は(1)鉄道による都市間の連結(2)バンコクと周辺地域の物流網整備による渋滞緩和(3)高速鉄道網の整備(4)海上輸送網の改善(5)航空輸送能力の強化-を5本柱に、15年から22年にかけて順次実施していく方向だ。
前ASEAN事務総長のスリン・ピッスワン氏は「これまでタイのインフラ整備は汚職や透明性の欠如、各方面の利益の衝突に足を引っ張られ続けてきた」と述べ、現政権は汚職の温床となっている官僚主義を打破する好機を生かし、早急な整備実施を図るべきだと主張した。
また、同氏は「現在、タイはASEANの国別経済規模でインドネシアに次ぐ2位にもかかわらず、投資流入額では4位と出遅れている」と指摘。インフラや研究開発、技術革新など競争力強化に直結する分野に投資を呼び込むための法整備も急ぐ必要があるとの認識を示した。