アベノミクスは異次元緩和に加え、「機動的財政出動」「成長戦略」の「三本の矢」で構成されるが、成長戦略には即効性がない。財政出動の柱は公共事業だが、建設関連の職人不足や資材価格高騰などで消化難に陥るなどの弊害が目立つし、持続的な成長にはつながっていない。
日銀が年間六十数兆円もの資金を発行して、金融機関から国債などを買い上げる異次元緩和策は、市場金利を押し下げてきた。金利を生まない円の価値は金利が高いドルに対して下がると市場が予想するので円安となる。円安は輸入コストを上昇させる結果、消費者物価を押し上げる。
その結果、名目金利から物価上昇分を差し引いた実質金利は全般的にマイナスに転じる。円建ての金融資産は目減りすることになるので、ますます円安が進む。円安で輸出企業の収益が増えて株価が上がるし、輸出が有利になるので、国内での生産や投資が増え、雇用や所得の増加につながるという筋書きだ。金融緩和の最大の狙いは円安であり、円安基調が続けば、物価も賃金も上がるので、15年以上も続いてきた慢性デフレから脱出できると黒田総裁ら日銀幹部は踏んだに違いない。