日銀が20日公表した10月の地域経済報告(さくらリポート)は、日銀が描く消費税率引き上げ後の景気回復シナリオが崩れていないことを後押しする内容となった。個人消費は増税直後に陰りを見せたが、雇用・所得の着実な改善や訪日外国人の増加による観光需要の伸びが下支えとなり、持ち直しつつある。ただ、住宅投資などには増税の反動減が残っており、景気の先行きは予断を許さない。
今回の報告のポイントは、個人消費の想定外の底堅さが確認されたことだ。夏場は長引く駆け込み需要の反動減や天候不順の影響で足腰の弱い地方を中心に減速するとみられていた。しかし、蓋を開けてみれば個人消費の判断は8地域で据え置かれ、北海道は引き上げられた。
個人消費を支えたのは観光需要だ。日銀が今回、2年ぶりにまとめた観光の地域経済に対する影響調査で横浜、那覇両支店は「主要観光地を中心に総じて過去最高の入れ込み」と報告。北海道では「外国人観光客に支えられる形で非常に好調で、春から夏にかけて宿泊単価は場合によっては3~4割上昇した」(曽我野秀彦札幌支店長)といい、日銀は「観光需要が国内の消費のもたつきをある程度カバーしている」と分析する。