米国の量的金融緩和政策の終了を受け、30日の東京外国為替市場の円相場は一時、約3週間ぶりに1ドル=109円台まで円安ドル高が進んだ。金融緩和を続ける日本と米国の金利差は広がるとみられるが、過度の円安を警戒する声も大きくなっている。日銀は大規模金融緩和策の「効果」と「副作用」を慎重に見極める必要に迫られている。
「来年末には1ドル=117円に達するだろう」
こう分析するのは米投資銀行、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのマーク・チャンドラー通貨戦略責任者だ。四半期ごとに1円程度の緩やかなペースで円安が進むとの見立てだ。
日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は28日の参院財政金融委員会で、円安について「輸出増やグローバル企業の収益改善、株高など全体としてはプラス」と改めて円安容認の姿勢を示した。実際、30日の東京株式市場は円安に反応し、日経平均株価の終値は1万5658円20銭で約3週間ぶりの高値となった。
ただ、円安で輸入物価が上昇したため、厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、現金給与総額に物価上昇分を加味した「実質賃金指数」は8月まで14カ月連続で減少した。
国債を買って市場にお金を流す金融緩和策は、金利低下による円安ドル高を招きやすく、実質賃金の低下に拍車がかかる懸念もある。
JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳ストラテジストは「日銀は今後、円相場を刺激しないよう株価に連動する上場投資信託(ETF)の購入増などを打ち出すのではないか」と予想する。
また、日米の中央銀行が相前後して量的金融緩和策を実施したのは史上初めてで、緩和終了や利上げなどの「出口戦略」も手探りだ。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの土田陽介研究員は「米連邦準備制度理事会(FRB)は市場が動揺しないよう配慮しているが、前例がないのでどんなハプニングに見舞われるか分からない」と指摘する。