安倍晋三首相は11月中に衆院を解散し、12月中に総選挙に踏み切る意向を固めた。また、消費税率を10%に再引き上げする時期について、2015年10月の予定を17年4月に延期する。複数の政府・与党関係者が12日までに明らかにした。年内に衆院解散・総選挙が実施されることで、15年度予算案の決定は年明けに持ち越される。予算案の越年編成は12年12月に発足した第2次安倍内閣による13年度予算案以来、2年ぶりとなる。15年度予算案の成立が14年度内に難しい状況となれば、政府は暫定予算を編成して対応する方針だ。
17日に公表される7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は思わしくない数値になるとみられており、安倍首相は消費税再増税の時期を先送りすることで景気の下振れ懸念を払拭し、政権が最重要課題に掲げるデフレ脱却と経済再生の早期実現につなげたい考えだ。
安倍首相は12日午後、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議などに出席するためミャンマーに到着した。一連の外交日程を終えて帰国する17日にも公明党の山口那津男代表らと会談し、「12月9日公示-21日投開票」を軸に衆院選の日程について協議、調整する。
衆院選の投開票日から新内閣の発足までは10日前後を要すると見込まれ、12月末に新内閣が発足すれば予算編成作業は越年せざるを得ない。財務省は急激な円安に伴う原材料費の高騰を踏まえた経済対策を検討しており、15年1月中旬までに14年度補正予算案を策定する考えだ。
財務省は、1月下旬に15年度の与党税制改正大綱と当初予算案を決めるスケジュールを描くが、国会に提出する詳細な予算案の作成には1カ月程度かかるため、当初予算案の提出は2月下旬になる見通し。予算案の国会審議には一定の時間が必要のため、15年度予算が14年度内に成立するかは微妙とみられる。