日中首脳会談を前に握手を交わす習近平国家主席(右)と安倍首相=10日、北京の人民大会堂【拡大】
その結果、アジアで孤立を深めたのは中国の方であった。一時にはベトナムとフィリピンが反中国の急先鋒(せんぽう)となってしまい、ASEAN諸国の大半も安倍首相の中国批判に同調する方へ傾いた。気がついたら、習主席のアジア外交は袋小路に入っていた。
習主席は何とか劣勢をはね返して外交を立て直そうとし、中国が議長国を務めるAPECが最大のチャンスとみて着々と動き出した。まずはベトナムとの対立を緩和させ、フィリピンとの領土紛争も一時的に休戦させた。経済援助を手段に一部のアジア諸国を手なずけた。準備万端整えた上で習主席はAPECの大舞台に立ったのである。
しかし彼には心配事があった。安倍首相の出方だ。中国が招かなくても、安倍首相が国際会議参加のために北京にやってくる。そしてもし、安倍首相がこの重要会議において相変わらずの中国批判を展開していたら、中国にとっての晴れ舞台が台無しになってしまう。会議を利用してアジア外交を立て直そうとする習主席の企みは、ご破算になりかねない。