甘粛省敦煌市近郊にあり、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されている莫高窟。一年を通して多くの観光客が訪れ、ホテルなどの施設も整っている(中国新聞社)【拡大】
近年、文化観光や展覧会、映画などの多様な産業を融合させ、文化リソースと観光産業、都市の価値の実現を一体化させた“曲江モデル”(陝西省西安市曲江新区)が議論を呼ぶとともに、全国へと波及している。
北京魯迅博物館の何洪・副館長は「文物には歴史的価値と科学的価値、芸術的価値、経済的価値がある。文化遺産の活用は、社会的には科学研究を推進し、国民教育や大衆の芸術面での要求を満たすことができ、経済的には観光産業において非常に重要な役割を発揮することができる」と語っている。
◆商業計画を中止
文化遺産の保護に参画する民営企業も増えている。その一例が、西安市の大唐西市遺跡だ。これは西安市の都市改造計画実施中に発見された遺跡で、発見後、デベロッパーの大唐西市文化は5万平方メートルの商業施設建設計画を中止して全面的な発掘調査に切り替えた。
同社の呂建中董事長は「建築物はいつでも建てられるが、遺跡保護は今日から始めなければならない」との理念の下に、“元の通りに保存し、現物を展示する”という方針を維持。3億2000万元を投資して3万5000平方メートルの大唐西市博物館を建設し、専門家を招聘して文物・遺跡の保護、展示、研究業務にあたらせた。
2010年10月、大唐西市遺跡博物館をはじめとする民営資本投資モデルが陝西省大遺跡保護5大実践モデルの一つに選ばれ、同12月には文化省から第4回国家文化産業モデル拠点に認定されている。(中華工商時報=中国新聞社)