農協改革案では、農協グループにおける経済事業(農業支援業務)と金融事業の分離も議論されている。僕も、農業という産業が正常で健康な状態であれば、金融分離案には賛成である。しかし、いまの国内農業は危機的状況である。農業という産業強化の観点で言うならば、いま農協から稼ぎ頭である金融事業を取り上げることは、あたかも社会的平等のように見えるが、結果として農業のさらなる凋落(ちょうらく)を招くことになる。農協が弱体化すれば、農業者に良いサービスはできなくなる。
農協改革は農協の弱体化ではなく、条件付きで農協の強化を目指すべきだ。条件付きとは、まずは20万人もの農協職員を削減することだ。あまりにも肥大化した組織は、維持のため、必要以上の収益に執着せざるを得ない。
また、独占禁止法上の運用も見直す必要がある。農協が独禁法適用除外を受けているのは、農協の活動すべてにおいてではない。戦後の混乱した国内食料事情をカバーするために、当時としては食料を総合的に管理する必要があり、そのため独禁法の適用除外という条文が、農協法に記載されただけのことだ。いまや青果物流通、種苗・農薬・肥料などの農業資材流通、あるいは農業機械に伴うリース等金融事業などは事実上の農協独占・寡占の弊害が生じている。
農協の不良債権処理も、不可避である。農協同士の合併による玉虫色の不良債権処理ではなく、一般経済原理にのっとった処理をすべきである。
農業不良債権が廉価で流通すれば、そこには新規参入のプレーヤーが生まれ、また競争原理が生じる。