政府は16日、関係閣僚と経済界、労働界の代表が意見を交わす「政労使会議」を開き、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」が目指す経済の好循環の実現に向けた合意文書をまとめた。2015年春闘をめぐっては「政府の環境整備の取り組みの下、経済界は賃金の引き上げに向けた最大限の努力を図る」と明記。年明けから本格化する春闘では賃上げがどこまで行き渡るかが焦点になりそうだ。
安倍首相は「来年春の賃上げに最大限の努力を図っていただきたい」と要請。少なくとも消費税率を10%に引き上げる予定の17年4月まで賃上げが続くことの重要性を強調した上で「円安メリットを受けている高収益の企業は賃上げや設備投資に加え、下請け企業に支払う価格にも配慮を求めたい」と述べ、取引価格のアップを促した。
合意文書の取りまとめは昨年に続き2回目。アベノミクスの効果を都市部や大企業から地方や中小企業に波及させる狙いがある。昨年も賃上げを求め、14年春闘で大企業を中心に賃金を一律に引き上げるベースアップ(ベア)の実現や一時金の増額につなげた。