物価上昇の鈍化が止まらない。日銀は10月末、追加の金融緩和に踏み切ったが、その後も物価は原油相場に振り回される局面が続く。市場では来年1月にも消費者物価のマイナス転落を予想する声も出始めた。2015年度中の物価上昇率2%の達成を“至上命題”とする黒田東彦(はるひこ)総裁の次の一手が注目される。
日銀が10月末に意表を突く形で大規模な追加緩和を決めたのは、原油安が消費者や企業の期待インフレを下押しするリスクを懸念したためだ。追加緩和の一方で、15年度に物価上昇率2%達成の見通しは据え置いたが原油相場の指標となる米国産標準油種(WTI)1月渡しは今月16日に09年5月以来の安値水準となる1バレル=53.60ドルをつけるなど原油安は続いている。
このため市場では、日銀に対し物価目標の修正やもう一段の追加緩和を催促する声が飛び交っている。
物価の先行きについて、SMBC日興証券の渡辺浩志シニアエコノミストは「WTIが1バレル=40ドル台に突入すると、物価上昇率は早ければ来年1月にもマイナスに転じる」と予想。その上で、日銀に「1月にも物価見通しを先送りし、質的な追加緩和に踏み込んで仕切り直しするのではないか」と厳しい見立てを披露する。