今回の補正予算案は、昨年4月の消費税増税で落ち込んだ景気をいち早く回復軌道に戻すため、消費と地方経済の活性化に的を絞った政策が盛り込まれた。2012年度補正の10兆円、13年度補正の5兆5000億円と比べて規模は小ぶりにし、景気浮揚と財政健全化の二兎を追う。
12年12月の安倍政権誕生後のアベノミクスの第1幕では、日銀による大規模な金融緩和と機動的な財政出動をてこに、円安株高や企業業績の改善をもたらした。
ただ、物価上昇のスピードに企業の賃上げが追いつかず、家計の負担がじわりと増した。そこに消費税増税が重なり、景気に急ブレーキがかかった。円安による材料費高騰で地方経済を担う中小企業も疲弊してきた。14年度の実質国内総生産(GDP)の成長率はリーマン・ショック後の09年度以来、5年ぶりに前年度比マイナスとなるもようだ。
経済対策では、消費喚起策として新たな交付金を盛り込んだり、中小企業支援を手厚くした。「生活者」「事業者」という表現を使い、円安株高の恩恵を受けにくい国民の暮らしに配慮する姿勢を強調した。成長戦略の加速に向けた競争力強化策が目立った1年前の補正とは様変わりした印象だ。