日本国債の金利低下は、企業や家計への貸出金利が下がり、設備投資や住宅購入の増加につながることが期待されている。ただ金融機関にとっては「もうけが出ない水準」(大手銀行幹部)に陥っており、長引けばリスクとなる。銀行などは国内融資の需要回復を待つ一方、海外にも活路を見いだす動きが活発化している。
しかし海外でも主要各国の国債の金利が低下しており、当面は我慢の事業環境が続きそうだ。
「国内よりましとされていた海外の金利も低下している。世界の金融機関と投資先を競うなど環境は厳しさを増している」
SMBC日興証券の中村真一郎シニアアナリストは、銀行を取り巻く現状をこう分析する。
20日の主要各国の10年物国債の金利は、米国1.84%、英国1.52%、フランス0.63%、ドイツ0.38%などとなっている。
米国を除けば、各国とも過去最低水準まで低下しており、日本との金利差は徐々に縮小している。