シンガポールのリー・シェンロン首相(左)とタイのプラユット首相(右奧)とともに、ASEAN首脳会談に向かう安倍首相=昨年11月、ミャンマー・ネピドー(AP)【拡大】
クーデター後、日本政府は「タイが軍政になったからといって放っておくわけにはいかない。関与を強めて緊密な関係を維持し、同時に早期の民政移管を求めていく」(日タイ外交筋)という。2月にプラユット首相が来日する際には、経済支援拡大をさらに表明する考えだ。
しかし、こうした姿勢をとる日本は、タイ側からは「くみしやすい国」に見える。欧米各国はクーデターを非難し首脳会談も控えるのに、日本は支援までしようというのだから。
タイ軍政はクーデター後、タクシン元首相や妹のインラック前首相、その支持者に対する追及の姿勢を強めた。軍政に批判的な学者やジャーナリストを召喚し、支持を要求する。
そのなかで、タクシン派とみられていた京都大学東南アジア研究所のパヴィン・チャチャワーンポンパン准教授は、複数回の呼び出しに応じなかったため逮捕状が出て、昨年7月にパスポートを無効にされた。
◆人道に関わる問題
京大が職を保証し、現在は外国人登録証も有効なためパヴィン氏は不法滞在ではないが、パスポートがなければ、外国人登録の更新もできず、日本を出国することさえできない。不法滞在となってタイに強制送還されれば、軍政に身柄を拘束されるのは確実だ。やむを得ずパヴィン氏は昨年夏、日本に難民申請を行ったがいまだ難民認定はされず、中ぶらりんの状態だ。
外交官出身で政治学者として著名な彼は、世界各国で講演やセミナーを行ってきたが、パスポートがないため「今はどこにも出られず仕事にならない状態だ」(パヴィン氏)という。