シンガポールのリー・シェンロン首相(左)とタイのプラユット首相(右奧)とともに、ASEAN首脳会談に向かう安倍首相=昨年11月、ミャンマー・ネピドー(AP)【拡大】
かつてミャンマーが民政に移行する前は、多くのミャンマーからの難民が政治難民として認定を受けたが、現在は政治的迫害を理由にした難民申請は急減、経済的理由での申請が増えているとされる。ただ、パヴィン氏のような事実上の国籍剥奪は明らかに政治問題であり、人道に関わる問題だ。
かつて、シンガポールのリー・クアンユー元首相は民主主義について「アジアにはアジアの価値観がある」と言った。同国憲法は言論・表現の自由を掲げるが、国益や治安維持を優先する制限がついている。実際、リー一族支配を批判したとして名誉毀損(きそん)で起訴されたブロガーは今も公判中だ。ベトナムでも反体制ブロガーがしばしば拘束される。
日本なりのアジア外交があってもいいが、最低限、守られるべき人権や人道問題まで見過ごすようでは、ますます「くみしやすい国」とみられるだけだ。
日本政府は、プラユット首相の訪日では人権問題の解決を促すとともに、訪日と関係なく早急にパヴィン氏の難民認定をすべきだ。日本が言論・表現の自由を尊重する民主主義国であることを示すためにも。(編集委員 宮野弘之)