アベノミクス三本の矢が、五月雨的に発表され、効果は不透明で、いま大きな曲がり角を迎えているが、農業改革においても同じ轍(てつ)を踏んではいけない。まずは、農業全体の長期的な戦略戦術を明確にした上で、今回の第一歩をつなげなければいけない。
農協グループの新体制移行に3年の猶予が与えられるようだが、その間に農協サイドも必死で巻き返しを図ってくるに違いない。経済事業(農業関連業務)と金融事業の取り扱いの峻別(しゅんべつ)もなお不明確だ。ちなみに農協グループはざっと経済事業で2000億円赤字、それを貯金や共済等金融事業の黒字3000億円で補っている。
◆進む二極化
農協グループ内部での出世は、稼ぎ頭の金融事業担当者に集中している。農協エリートの金融担当者は、農業関連業務知識に乏しいケースが多い。
かつてはエース級であった、農業関連業務の営農指導員は、急速に存在感が薄れている。自由競争は、意欲と能力のある単協には成長チャンスといえる。しかしながら、全ての農協にそのような意欲と能力があるわけではない。つまり、農協や農家にも成長組と衰退組という二極化が進み、産業としての農業の発展にはつながらない。農業は、単なる市場原理に委ねるべきでないことは、世界で証明されている。
日本を含む世界は、さまざまな分野で急速な二極化が進んでいる。国内農業までもが二極化してしまっては、食料安全保障をはじめとした、国家基盤としての農業は成立しなくなる。