すなわち、一部の大規模化や高度化に成功した農業関係者の利益にはなっても、国民の利益を最大化することとは逆行する。単協の現場では、組織防衛のために合併が進み、組織が肥大化し、末端に神経が通わなくなってきており、より農業に対する機能が弱体化している。どの産業も、現場主義から遠ざかっては、発展などあり得ない。
派手で難しい改革論よりも、今すぐできる方策も多数ある。例えば独占禁止法の運用強化は、喫緊の課題だ。青果物流通、農業資材流通、あるいは金融事業などは、事実上の農協独占・寡占の弊害が生じている。
繰り返すが、今回の改革案は、ほんの第一歩にすぎず、それ以上でも以下でもない。大事なことは、農協改革ではなく、農業改革である。国民目線で国益を考えた、地に足のついた、総合的かつ長期的な改革を期待したい。
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【プロフィル】鈴木誠
すずき・まこと 慶大商卒、1988年東洋信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入社。ベンチャー投融資担当などを経て98年退社、2001年日本ブランド農業事業協同組合事務局長、03年3月ナチュラルアート設立。農業経営・地域経済活性化・店舗運営・食育プロデューサー。49歳。青森県出身。