■コスト負担ルール決まらず
「太陽光事業への不安が広まっている。これを取り除いてほしい」
今年1月、2015年度の再生可能エネルギーの固定買い取り価格を算定する有識者会合で、和田武委員(前日本環境学会会長)はこう訴えた。
念頭にあるのは、九州、東北など大手電力5社が昨年9月以降、急増する太陽光の買い取り手続きを保留した一連の騒動だ。天候で出力が変動する太陽光が増えすぎると、電力需給バランスが崩れ、大規模停電が起きる恐れがある-というのが保留の理由だ。
政府は電力需給に応じて、大手電力が発電事業者に出力抑制を指示しやすくする新ルールを設けた。だが発電事業者は、出力抑制の設備が必要となるほか、思うとおりに電気を売れなくなる恐れもある。
3日に閣議決定した電気事業法改正案では、大手電力会社の送配電部門を切り離し、地域独占を撤廃する「発送電分離」を20年4月に実施すると定めた。再生エネ普及のカギを握る新規参入者は、電力を売る際、現在の大手電力が持つ送電網や電柱を借りなければならない弱い立場であることは否めない。
販売や発電を含めた「エネルギーの自由化」を進めるには、新規事業者が公正に競争できる環境づくりが不可欠だ。
◆電源の多様化推進
「太陽光は日照時間が長く、冷房需要が増加する夏季のピーク需要を吸収できる。燃料コストがかからない点でも重要な電源だ」
政策研究大学院大学の金本良嗣副学長は、再生エネの重要性をこう指摘する。金本氏は今年4月に発足する「電力広域的運営推進機関」(広域機関)の理事長に就任する。
広域機関は全国規模で電力融通をとりまとめる「司令塔」となる。電気が足りないエリアへの送電を指示するほか、新規事業者が送電網を公正に使えるようチェックするなど、大手電力に対して強い権限を持つ。