【ワシントン=小雲規生】国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加を決めた英国を、米国が強く批判している。日米主導の世界銀行やアジア開発銀行の対抗馬としてAIIBの影響力が強まることを警戒しているためで、「米英が珍しく仲違いした」(英紙フィナンシャル・タイムズ)形となった。
米政府高官は同紙に対して、「中国への融和的な態度が続く傾向を警戒している。新しい強国と関係を持つうえで最善の方法とはいえない」と述べた。また「事実上、米国に相談はなかった」とも明かして不快感を表明した。
米国がAIIBに神経をとがらせるのは、中国がAIIBで拒否権を持つ可能性が指摘されているほか、融資対象事業の環境や労働条件に関する基準が世銀などに比べて低くなるといった懸念も出ているからだ。こうした「中国基準」の国際金融機関が、中国の国際社会での存在感を高める一助になることは確実だ。
米政府高官はフィナンシャル・タイムズ紙に「先進国はAIIBの外から基準作りに関与しようとすることでより影響力を持つことができる」と主張。英国の参加が、AIIBに先進国のお墨付きの国際機関としての地位を与えることに懸念を示した。ロイター通信によると、米国家安全保障会議(NSC)の報道官は「英国が高い基準の採用のために発言力を用いることを期待する」と述べた。