会見する日銀の黒田東彦総裁=17日午後、東京都中央区【拡大】
日銀の黒田東彦総裁は17日、金融政策決定会合後の記者会見で、原油安の影響で物価上昇率が伸び悩む中、「若干のマイナスも排除できない」と物価下落の可能性に初めて言及した。ただ、「直ちに物価の上昇基調に影響が出る状況ではない」と発言。賃上げなどで物価は次第に上向くとして、現段階での追加金融緩和の必要性を否定した。
決定会合では、現行の大規模金融緩和の継続を賛成多数で決めた。国内景気の現状判断についても「緩やかな回復基調を続けている」との表現を18カ月連続で据え置いた。
今春闘では、自動車や電機などの大企業を中心に昨年を上回る賃上げが実現する見通し。黒田総裁も「企業収益からみると、賃金上昇の環境は十分整っている」と期待感を示した。4月からは消費税増税による物価押し上げ効果も剥落するため、「実質賃金も伸びていく可能性が高い」と指摘した。
2013年4月に大規模金融緩和を始めてから間もなく2年を迎える。「2年で2%」の物価目標を掲げていることについて、「2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する方針に変わりはない」と改めて強調した。