【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(24) (2/3ページ)

2015.3.20 05:00

 今年1月、機会があって再びこの村を訪れることができた。世帯数は112に増え、とりわけビルマ人のいる世帯が増えていることに驚いた。これは10年に村のはずれにできた近代的な紅茶工場に起因する。工場労働者のほとんどが中央平原からやってきたビルマ人男性で、この村の娘と結婚してここに住みつく人が出てきたからである。

 工場は周辺の村々から大量の生葉を買い付けているため、価格が急騰しかつ安定することが期待されていた。しかし、シュエピーと呼ばれる一番茶で、7年前に1ペイッター(1633グラム)当たり500チャット(08年の為替レートは1チャット=0.1円、15年は同0.12円)だったのが、900チャットになった程度だった。農業雇用労賃は昼食のおかず代込みで08年の1000チャットから15年には3200チャットに上がっており、この間に茶葉の生産性が上がったという話は聞かないので、茶作の収益性は明らかに下がってきている。

 ◆中国への出稼ぎ

 それを穴埋めするのが、茶作以外も行う複合経営や兼業であるが、村内や周辺でそれらが急増したという話は聞かない。そして急増したのが、中国への出稼ぎである。08年には一人もいなかった中国出稼ぎ者が、上層からは確認できなかったものの、中層の世帯群の3分の1、下層の半分から、少なくとも1人の出稼ぎ者が出ていた。村から160人ほど中国に出稼ぎ中であるとのことだったので、平均で1世帯当たり1.4人が行っていることになる。ただし、うち140人ほどは茶摘みの時期になると村に帰ってくるという。

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