今年ほど春節・旧正月が、日本で話題になった年はない。訪日中国人の「爆買い」の様子が連日メディアで報道され、期間中の消費が約60億元(約1157億円)というその額に誰もが驚いた。
それにしても、と多くの日本人が首を捻(ひね)ったことだろう。
--どうして彼らはそんなに金持ちなんだ?
本当にそうだ。統計上では、平均年収は100万円にも満たない人々が、1回の旅行で何故(なぜ)20万円、30万円と買い物ができるのだろう。
「富裕層だから?」と考えるかもしれない。いや違う。近年訪日して爆買いする中国人の多くは、普通の人々、つまり中間層である。
中国は公の数字では判断できないことが実に多い。庶民の財布の中身も同じである。給与額だけで判断してはいけない。彼らの収入の半分は、給与以外で得るお金、いわゆる灰色収入である。
灰色収入とは、日本語でいえば、臨時収入、アルバイト収入だろうか。黒色収入とは違い、違法ではない。原稿料、講演料、何かを紹介したときに受け取る礼金、自由業的な仕事で得た報酬…、名目は多岐にわたる。そしてほとんどの場合、記録にも残らず、税金もかからないために、灰色収入は10割が可処分所得といっていい。