【視点】AIIB、米国参加の可能性 日本は腹据わった対応を (1/2ページ)

2015.4.14 05:00

 □産経新聞論説委員長・樫山幸夫

 何十年も前、こんなジョークがはやった。

 歴代の日本の駐米大使の誰もが、一度は同じ悪夢をみるという。朝起きてみたら、米国と中国の首脳が日本の頭越しに握手をしていた…。

 日中国交正常化、米中国交樹立のはるか以前だから、1960年代ごろだったろう。

 この悪夢、その後に現実となる。ニクソン米政権による米中頭越し接近だ。1971年夏、キッシンジャー米大統領補佐官が極秘に北京を訪問し、翌年にニクソン大統領が訪中することで合意した。

 世界中が驚いたが、最も衝撃を受けたのは日本だ。中国の隣国の同盟国であるにもかかわらず、事前に一切連絡のない、いわば“青天の霹靂(へきれき)”だったからだ。それだけに米国の非をならす声が高まった。

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 こんな昔のことを思い出したのは、ほかでもない。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)をめぐる動きを見ていると、同じ轍(てつ)を踏んでしまうのではないかという危惧を感じるからだ。

 AIIBの創設メンバーは50カ国・地域を超えた。英国、ドイツ、ロシア、豪州など各国が名を連ね、主だった国の中で慎重姿勢をみせているのは日本と米国だけだ。

 「審査体制に問題がある」「融資先の決定システムが不明だ」などというのが、その理由だ。日本にしてみれば、日中関係が置かれている環境も考慮し、同盟国、米国と足並みをそろえておこうという判断も、もちろんある。安倍晋三首相は「焦って参加する必要はない」といっている。

 米国との協調はもちろん重要だが、言葉は悪いが、結果的に「はしご」をはずされることになりはしないか。そういう懸念を、どうにもぬぐい去ることができない。

 先月末、米国のルー財務長官が訪中し、李克強首相、汪洋副首相らと会談した。話し合いの詳しい内容は明らかではないが、ルー長官は、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)との連携を望む旨伝えたという。

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