【ワシントン=峯匡孝】訪米中の安倍晋三首相は27日午後(日本時間28日未明)、米東部ボストンを政府専用機で出発し、首都ワシントン郊外のアンドルーズ空軍基地に到着した。首相は、ナチスによるユダヤ人大量虐殺の歴史を展示するホロコースト記念博物館を視察し、「悲劇も善意の勇気も風化させず記憶にとどめ、日本として世界の平和と安定のため積極的に貢献しなければならない」と記者団に感想を述べた。
安倍首相に対しては、中国や韓国だけではなく、一部の欧米メディアが戦後70年に絡めて「歴史修正主義者」と批判する見方がある。首相は今年1月のイスラエル訪問でも、エルサレム市内のホロコースト博物館を視察し、平和に向けたスピーチを行った。首相は今夏発表する戦後70年談話を見据え、一貫して平和を願ってきた姿勢を改めて強調し、こうした懸念を払拭したい考えがある。
首相は記念博物館視察に先立ち、オバマ米大統領とともにリンカーン記念堂を訪れたほか、アーリントン国立墓地で献花した。
首相はワシントンに30日まで滞在。日米首脳会談に加え、29日には米議会で日本の首相として初めて上下両院合同会議での演説に臨む。その後、西海岸のサンフランシスコ、ロサンゼルスに移動する。