「ヤンゴンに来た12年2月頃は日本企業もほとんどない。中国語と中国人を知っていたので華僑のネットワークにつながることができた」
現場で学んだという中国語以外に英語、韓国語も操るという金沢氏だが、話していると、語学力やビジネスセンス以上に人を引きつける力がある。
それを最も感じたのが現在、バゴーで進める日本企業専用の工業団地プロジェクトの話だ。
同団地はもともと軍の関連企業ミャンマー・エコノミック・ホールディングス(UMEHL)の工場があったところ。ミャンマーの国有企業の多くは国軍関連だが、米国の経済制裁リストに載せられるのを恐れて日本企業の多くは提携や合弁に二の足を踏む。しかし、金沢氏はひるまなかった。事前の約束なしでUMEHLを訪れ、ヤンゴンのゴールデンバーグの縫製工場を視察に訪れた日本企業約300社のリストを示しながら、担当者に日本の中小製造業を誘致する必要性を強調。最終的にヤンゴン管区の工業相を説得し、工場用地の賃貸契約にこぎ着けた。
「民主化が進むなかで国軍の関係する企業も変わろうとしている。社会のためになるなら、軍の企業と付き合うことが悪いとは考えなかった」と笑う。
◆低リスクで設備充実
政府から50年の契約で借りた工場の敷地面積は一期分が約6万平方メートル。車のアルミホイールや軍関連の部品などを作っていたため、電気や水道設備は完備。さらに大型プレス機や金型、メッキ工場も引き継いだ。「こんなに整った工場があったことに驚いた。軍関連だったため金をかけて作られており、壁や床、電気設備もしっかりしている」