中国経済は全般的に低迷が続いているが、その中で上海、北京など大都市を中心に不動産価格が急上昇してきた。リーマン・ショック後の不動産バブルの時期には、土地入札で驚くような高値で落札した「地王」が各地に現れたが、その「地王」が上海で久しぶりに出現している。早くも不動産バブル再来かとの観測も出始めているが、実態はどうだろうか。
国家統計局が発表した最新の5月の数字をみると、中国経済は一段と冷え込みを見せている。例えば発電量は前年同月比でついに伸び率がゼロになってしまった。在庫増に悩む鉄鋼の生産量は前年同月比でわずかに2.1%増、セメントに至ってはマイナス5.4%である。自動車の生産台数もマイナス1.6%で、特に乗用車はマイナス15%もの落ち込みとなっている。
こうした数字が並ぶ中で異彩を放っているのが、全国70大中都市の新築分譲住宅販売価格である。前月比で低下した都市はなお43と多いが、20都市が上昇に転じているのだ。1年前には69都市が低下していたのと比べれば、明らかに相場は反転している。