TPPの事務レベル協議に臨む、大江博首席交渉官代理(右)と米通商代表部のカトラー次席代表代行=9日、外務省(代表撮影)【拡大】
日米両政府は9日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉に関する2国間の事務レベル協議を東京都内で再開した。28日から米ハワイで開く交渉参加12カ国による閣僚会合での大筋合意を目指し、交渉を主導する日米で残された課題であるコメや自動車部品の関税の扱いで最終調整する。今回の協議で着地点を大筋で見いだし、12カ国の閣僚会合と並行して開く日米閣僚協議で決着したい考えだ。
事務レベル協議には、大江博首席交渉官代理や米通商代表部(USTR)のカトラー次席代表代行らが参加。大江氏は協議に先立ち「次の閣僚会合で全体が決着するところへ結びつけられるような交渉にしたい」と記者団に語った。協議は10日までの予定。コメについては、日本が設ける方向の主食用米の無関税輸入枠の規模で米国が年17万5000トンとするよう要求。これに対し、日本は5万トンが限度と主張している。自動車部品では、日本が米国に関税2.5%の即時撤廃を求めている。
安倍晋三首相は9日、東京都内で講演し、TPP交渉に関し「ゴールテープに手が届く」と述べ、早期妥結に自信をみせた。
◇
■TPP日米協議の現状
≪日本の重要農産品5分野≫
◆コメ
・日本が関税を維持する代わりに、無関税の輸入枠を新設する方向。主食用米の輸入枠の規模で米国は年17.5万トンを要求。日本は5万トンが限度と主張
◆麦
・関税維持。無関税輸入枠を拡大
◆甘味資源作物
・関税維持
◆乳製品
・低関税か無関税の輸入枠を新設
◆牛・豚肉
・牛肉は現在38.5%の関税を10年以上かけて9~11%に段階的に引き下げ。豚肉関税も低価格品にかける1キロ482円の関税を50円程度まで段階的に下げる方向
≪米国の自動車部品≫
大半の品目の関税を即時か10年以内に撤廃する方向