--経緯を振り返りますと、韓国が戦時徴用について「強制労働」との表現を求め、登録に反対。外相会談での合意を韓国側が反故にするなど、調整が難航するなか、日本が譲歩し、ユネスコの世界遺産委員会で、一部の施設について「意思に反して連れてこられ、働かされた」朝鮮半島出身者らがいたと述べたほか(「forced to work」と発言)、「被害者を記憶にとどめるための情報センターの設置」を表明しました
そもそも戦時徴用は国民徴用令に基づき行われものであり、違法な行為ではありません。にもかかわらず、韓国の言いがかりを半ば認めるような結果に終わったことは本当に情けなく思います。韓国側が求めた「forced labor(強制労働)」ではないなどと説明したところで、国際社会に、日本の負のイメージを植え付けてしまったことは確かでしょう。
--日本政府は「韓国とのハイレベルの外交上のやり取りを通じて、韓国政府は日本の発言を、日韓間の請求権の文脈において利用する意図はないことが確認されている」としていますが
鵜呑(うの)みにはできません。韓国政府は、日本が強制労役を認めたと強調したほか、韓国メディアも同様の内容を伝えています。徴用問題をめぐり、韓国では日本企業に対し賠償を求める裁判が行われていますが、これに影響を及ぼさないとも限りません。
日本は譲歩したことで、歴史認識をめぐる新たな火種を自らまいてしまったともいえるでしょう。
戦時徴用など日韓間の請求権問題は完全に解決済みという日本の立場を発信することはもちろんですが、やはり、この国に誇りを取り戻さない限り、強い外交力も発揮できないのではないかと感じます。