政府が与党に提示した2016年度予算の概算要求基準案は、民間需要の喚起やイノベーションを誘発する効果が見込める施策に優先配分する特別枠を約4兆円設けた。公共事業などの裁量的経費を1割削減し、成長志向の予算に重点化させる狙いがある。ただ、景気腰折れを懸念して予算総額は決めず、歳出抑制への道筋は見えないままだ。
今回の特徴は、人件費などの義務的経費(15年度予算は12.5兆円)を減額すれば裁量的経費(同14.7兆円)の要求額を増やせる仕組みだ。各省庁に「聖域なく削減する努力を促し、成長志向の予算に振り向ける」(財務省幹部)として導入した。
国の債務残高が1000兆円を超える中で予算の無駄削減や効率化を図り、施策の優先順位をつける試みといえる。ただ、歳出の上限は設けず、「成長志向」名目で不要不急の予算要求が積み上がる懸念は拭えない。
一方、高齢化で年金や医療の支出が増える社会保障費(同30.2兆円)の「自然増」は、6700億円増まで認める。15年度に比べ1600億円減になるが、これは景気回復に伴い生活保護費や失業保険給付の伸びが抑えられると見込まれるためだ。