環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉で、新薬の開発データの保護期間をめぐり、最終的な合意期間までの段階的な移行措置を認める経過期間を設ける方向で調整していることが24日、分かった。新薬の開発データは知的財産の一種で、具体的な保護期間の設定に関して米国と新興国などの対立が続いている。経過期間は双方の歩み寄りが狙いで、米ハワイのマウイ島で現地時間の同日(日本時間25日)から始まる交渉参加12カ国の首席交渉官会合で詳細を協議する。
首席交渉官会合は27日までで、期間中は知的財産などの懸案について少数国の協議も並行して進める。続く28日から大筋合意を目指して12カ国の閣僚会合が開催され、最終日の31日午後1時半(日本時間8月1日午前8時半)に会合の成果を報告する共同記者会見が開かれる予定だ。
安倍晋三首相は24日、官邸で開いたTPPの関係閣僚会議に出席し、ハワイ会合に向けて「国益を最大限実現する成果を挙げてもらいたい」と指示。甘利明TPP担当相は会議後に記者団に対して「TPPの命運を左右する極めて重要な会合だ。最後の会合にしなければならない」と妥結に意欲を示した。
交渉はTPPの協定文31章のうち、知的財産の保護ルールの扱いが最も難航している。
なかでも新薬の開発データの保護期間については、米国が12年を要求するのに対し、マレーシアなど新興国やオーストラリア、ニュージーランドは5年を主張。日本は8年を落としどころにしたい考えだ。
保護期間は安価な後発薬の発売までの期間を左右する。短ければ短いほど後発薬が早く普及し、医療費削減につながる一方、元の新薬を開発した製薬会社の利益は減る。交渉筋は「速やかな対応が困難な国への配慮として経過期間を設ける」と明かすが、対立が解消できるかは予断を許さない状況だ。
知的財産では、著作権の保護期間について作者の死後70年に統一することでほぼ一致している。日本では著作権の侵害は著作権者の告訴を必要とする「親告罪」だが、告訴がなくても警察などが取り締まれる「非親告罪」化で統一する方向だ。
知的財産のほか、国有企業や投資など4章は最終的に閣僚の政治判断で決着を図る。甘利氏は「それぞれ譲れない国内事情があるが、各国の事情に配慮しながら合意点を見いだしていく」としている。