交渉はTPPの協定文31章のうち、知的財産の保護ルールの扱いが最も難航している。
なかでも新薬の開発データの保護期間については、米国が12年を要求するのに対し、マレーシアなど新興国やオーストラリア、ニュージーランドは5年を主張。日本は8年を落としどころにしたい考えだ。
保護期間は安価な後発薬の発売までの期間を左右する。短ければ短いほど後発薬が早く普及し、医療費削減につながる一方、元の新薬を開発した製薬会社の利益は減る。交渉筋は「速やかな対応が困難な国への配慮として経過期間を設ける」と明かすが、対立が解消できるかは予断を許さない状況だ。
知的財産では、著作権の保護期間について作者の死後70年に統一することでほぼ一致している。日本では著作権の侵害は著作権者の告訴を必要とする「親告罪」だが、告訴がなくても警察などが取り締まれる「非親告罪」化で統一する方向だ。
知的財産のほか、国有企業や投資など4章は最終的に閣僚の政治判断で決着を図る。甘利氏は「それぞれ譲れない国内事情があるが、各国の事情に配慮しながら合意点を見いだしていく」としている。