【ベルリン=宮下日出男】財政危機に陥るギリシャは9日、欧州連合(EU)の金融支援の前提となる財政再建策をEU側に提出した。ユーロ圏財務相会合の報道官が明らかにした。再建策は年金や税制改革を中心に、これまでのEU側の要求に歩み寄りを見せた内容。支援交渉開始の可否を判断する最終期限を12日に控え、EU側は再建策の精査を急ぐ。
税制では付加価値税(VAT)について、レストランに対する課税率を13%から23%に引き上げ、離島への軽減措置を撤廃する。年金改革では、早期退職の厳格化などでEU側の要求に応じ、年金支出の削減を盛り込んだ。一方、国防費をめぐってはEUが求めた4億ユーロの削減に対し、削減幅を3億ユーロにとどめている。
欧米メディアによると、ギリシャはこうした財政再建策を実行する見返りとして、2018年6月までの3年間で、EU側に総額535億ユーロ(約7兆2千億円)の融資を要請する方針。さらに、安定的な財政運営のため、国内総生産(GDP)比177%に上る政府債務の返済負担の軽減を目指している。