一方、10月に総選挙を控えるカナダは国民の反発を招く譲歩は難しく、優先している米国との関税協議で乳製品や鶏肉などの市場開放を拒み続けている。
乳製品の競争力が突出して高いニュージーランドは乳製品で一定の輸出拡大を勝ち取れない限り、知的財産の新薬のデータ保護期間で米国に譲歩しない構えを見せる。新薬のデータ保護期間や国有企業改革で米国と対立するマレーシアも慎重な交渉姿勢を維持しているもようだ。
来年に次期大統領選を控える米国の政治日程を踏まえると、今回の会合で合意できなければオバマ政権下では批准までこぎ着けられないため、交渉は中断を余儀なくされる恐れもある。
甘利氏は「これが最後という気持ちで12カ国が臨まないと交渉はまとまらない」と訴える。日本の参加から2年。TPP交渉はまさに「剣が峰」だ。(本田誠)