「交渉は米国さえ降りてくればまとまる」(交渉筋)という状況だ。
その米国は新薬データの保護期間で一定の譲歩を容認する姿勢に傾いているとみられ、保護期間は7、8年で決着する公算が大きくなっている。
交渉は、知財や関税以外の分野はほぼ固まってきている。
サービスや投資分野では、原則全ての分野を自由化の対象とし、コンビニエンスストアなど流通業や金融分野で外資規制を緩和する。
政府による物品・サービスの調達ルールを定める政府調達では、ベトナムやマレーシアなどが政府調達市場の開放を約束。米国や豪州なども既存の国際約束以上の対象機関について市場への参入機会を広げる。
関税減免の対象となるTPP域内品として認められるためのルールを定める原産地規則では締約国内で国境を越えた生産工程が構築できるようにする「累積ルール」を採用しており、日本企業の立地戦略にも寄与しそうだ。(ラハイナ 本田誠)
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■TPPをめぐる全体会議の交渉状況
≪新薬データの保護期間≫
保護期間12年を主張してきた米国が7、8年の譲歩案検討。日本は8年を落としどころに、新興国などは5年を要求
≪著作権≫
保護期間は作者の死後50年から70年に延長することでおおむね合意。侵害への刑事手続きは「非親告罪」に統一する方向
≪国有企業改革≫
マレーシアがマレー人優遇政策「ブミプトラ」を例外として認めるよう主張