TPP合意へ米が知財分野で譲歩姿勢 閣僚会合厳しい調整

2015.8.1 05:00

厳しい表情で記者の質問に答える甘利明TPP担当相=7月30日、米ハワイ州ラハイナ(共同)

厳しい表情で記者の質問に答える甘利明TPP担当相=7月30日、米ハワイ州ラハイナ(共同)【拡大】

 米ハワイ州で開かれている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は7月30日(日本時間31日)、3日目の協議を続けた。最も難航している知的財産分野で米国が譲歩する姿勢を示唆しており、交渉は合意する方向で進んでいる。ただ交渉の最終盤を迎えて、各国の利害をめぐる主張も先鋭化しており、閉幕が予定される31日まで厳しい調整が続きそうだ。

 30日は知財の交渉官による事務レベルの調整に時間がかかり全体会合は当初予定より後ろ倒しとなった。会合に先立ち、日本は米国、カナダ、ニュージーランドと事務レベルで2国間協議を進めた。甘利明TPP担当相は会合の開始前、記者団に対し、2国間協議について「交渉を進展させた」とし「成果を念頭におきつつ、最後の会合にできるようしっかり議論したい」と述べた。

 知財のうち新薬データの保護期間をめぐる米国と新興国などの対立が解消しないと、残された懸案で各国とも最後のカードを切れない状況だ。交渉筋によると、米国は前日の会合の最後に、譲歩とも受け取れる発言をしており、交渉はまとまる方向で動いているという。

 一方、政府は小麦の事実上の関税に相当する「輸入差益」を引き下げる見通しとなった。輸入差益は製粉会社などへの転売の際に輸入価格に上乗せしているもので、段階的に半分程度にする方向で関係国と調整している。

 小麦はコメや牛・豚肉と並ぶ重要農産品5分野の一つ。米国などから引き下げを要求されており、一定の譲歩はやむを得ないと判断したもようだ。日本は国内消費量の大半を輸入で賄っておりパンや麺類など小麦製品の価格が下がる可能性がある。(米ハワイ州ラハイナ 本田誠)

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。