TPP交渉最終盤 各国、メディア通じて情報戦 相手国揺さぶり自国有利に

2015.8.1 05:00

 TPP交渉の閣僚級会合が最終盤に入り、各国が情報戦を展開している。各国代表団はメディアを通じて相手国に譲歩を迫ったり、相手国の発言を打ち消したりして、自国に有利なムードを作ろうと躍起だ。合意内容次第では国内から大きな反発を受ける可能性もあるだけに各国とも発言に最大限配慮している。

 「米国はリーダーシップを発揮するのに最もふさわしい立場にある」。オーストラリアのロブ貿易・投資相は米メディアへのインタビューで、乳製品の市場開放に慎重な米国に妥協を迫った。

 TPPをアジア重視戦略の中核と位置付ける米国はこれまでTPP交渉を主導。しかし今回の閣僚級会合では乳製品の市場開放をめぐり、豪州、ニュージーランド、カナダなどとの対立を解消できずにいる。ロブ氏の発言は、このまま着地点が見つからなければ米国の指導力が問われる事態になるとしたものだ。

 一方、乳製品の市場開放に消極的で、交渉全体の重しになっていると批判されてきたカナダからは反論の声があがる。ファスト国際貿易相の広報担当者は7月30日、カナダメディアに「一つの特定の問題が全体の交渉を妨げているというのは事実と異なる」と指摘。各国とも譲歩が難しい重要産品を抱えている現状を指摘し、「カナダ戦犯論」を否定した。

 メキシコのグアハルド経済相は30日、ロイター通信に対し交渉の現状を「残された問題は少ないが、対立は激しい」と強調した。こうした発言には「『安易に譲歩した』と批判を受けないよう、自国が徹底抗戦していることをアピールする狙いもある」(交渉筋)ようだ。(ラハイナ 小雲規生)

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