農業実習生のミョーさんが作ったスイカやニンジンも並ぶJA富里の産直センター=千葉県富里市(筆者撮影)【拡大】
後からやってきた、別の農家で実習しているソオさんも、50エーカーの米作経営をする大農家の出だが、自身は工業大学中退とのことである。だが2人とも農家出身なので、3年間の研修を終えて帰国した後は、故郷で日本のスイカを栽培して、ヤンゴンの市場に出してみようかという気になっている。堀越さんもそれを応援したいとおっしゃっていた。
ミョーさんは、ミャンマー海外労働者派遣協会(Myanmar Oversea Employment Agencies Federation)という公式機関を通じて日本に来た。当時はこの機関に登録する仲介業者に、語学研修費、旅券および査証代、航空運賃等々ワンセットで6000ドルほど支払った。ただし現在では3000ドル以下に規制されているとのことである。公式ルートで日本に来るミャンマー人実習生の負担はこの3年間で半分になっていることになる。
◆水田価格が17倍に
ミョーさんの月収は、農閑期の10月と1月こそ8万円程度であるが、その他の月は15万円から16万円の手取りがある。そのうち10万円から11万円を両親に送金する。この送金額の半分は実家の諸々の出費と仏教関係の布施や寄進用で、残りは日本から持っていくスイカの新品種の栽培や自動車修理工場の経営拡大のために使いたいと言う。
農地を買うことも考えていたが、5年前に1エーカー当たり150万チャット(1ヘクタール当たり37万5000円)だった水田価格が、昨今の土地ブームのあおりを受け、現在では2500万チャット(同625万円)と、17倍にもなっており、現地の農民は言わずもがな、日本で稼いでも買える価格ではなくなってしまった。スイカ栽培と自動車修理の両方を考えているのは、どちらかが失敗したら残りの片方で稼ぐというリスク回避というよりも、ミャンマーの富農によくある、業種を超えた経営拡大志向を反映したものであろう。