■チャイナリスクをチャンスに変えよ
チャイナリスクの衝撃で堅調だった日米の株価まで大揺れに揺れたが、気になるのは株価下落による実体景気への影響である。ダウ工業平均株価は24日時点で今年の最高値に比べて12%、日経平均は同9.8%下がった。
米国は、株価と景気の相関度が極めて高い。米連邦準備制度理事会(FRB)は2008年9月のリーマン・ショック後、3度にわたる量的緩和政策によって株価を押し上げた。リーマン後から今年3月までのデータをもとに相関係数を計算するとマネタリーベースに対する株価の係数は0.95、株価に対する個人消費と民間設備投資はそれぞれ0.98、0.91である。相関係数は1が完全な相関関係を示すのだから、これらの水準は驚嘆に値するのだが、賃金、物価とも低水準で推移している。人手、モノやサービスに対する実需よりも、量的緩和というマネー増量によってつくられた景気の感がある。その危うさが消え去らないなかで、昨秋に量的緩和を打ち切り、利上げ時機をうかがっているところに、上海株価が暴落、ニューヨーク市場が共振した。
日本の場合、アベノミクスが始まった12年12月から今年3月までのデータでみると、株価と民間設備投資の相関度は米国並みに高い。しかし、家計消費は無相関である。14年4月からの消費税増税が株高効果を消し去ったのだ。その結果は14年度とこの4~6月期の実質マイナス成長になって表れている。株安で設備投資押し上げ効果も見込めないとなると、景気の先行きはいよいよ暗くなる。