中国リスクに揺さぶられ、東京金融市場は波乱含みの展開が続いている。26日は日経平均株価が大幅反発して取引を終えたものの、上海株は続落。市場では日銀に追加金融緩和を催促する声も聞かれる。国内の個人消費はさえず、原油価格も下落するなど、平成28年度前半ごろに2%の物価上昇率を達成する目標への向かい風も強まっており、5年の任期の折り返しが迫る日銀の黒田東(はる)彦(ひこ)総裁は頭を悩ませる日々が続きそうだ。(米沢文)
日銀の追加緩和のタイミングとして注目されているのが、29年度までの経済成長率と物価の見通しを公表する10月末の金融政策決定会合だ。
中国の成長鈍化を震源とする世界経済の減速で、原油価格への下落圧力は強まっており、日本の消費者物価を押し下げる力も一段と増す見通し。このため市場では、10月末に経済・物価見通しを引き下げると同時に、追加緩和を決断するとの見方が浮上している。
緩和の手法として想定されるのは長期国債を中心とした資産の買い増しだ。10兆~20兆円の資金供給量の拡大を予想するSMBC日興証券の牧野潤一氏は「(株安連鎖で動揺した)市場に安心感も与えるため、国債に加え、ETF(上場投資信託)の購入も検討するだろう」と話す。