中国リスクに揺さぶられ、東京金融市場は波乱含みの展開が続いている。市場では日銀に追加の金融緩和を催促する声も聞かれる。輸出や個人消費は振るわない上、原油価格下落や円高の進行も重なり、2016年度前半頃に2%の物価上昇率達成を目指している日銀は向かい風にさらされている。5年の任期の折り返しが迫る黒田東彦(はるひこ)総裁は頭を悩ませる日々が続きそうだ。
日銀が金融政策を変更する次のタイミングの一つとみられているのが、17年度までの経済成長率と物価の見通しを公表する10月末の金融政策決定会合だ。
黒田総裁は7日の会見で「必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく金融市場調節を行う方針に変わりはない」と従来の発言を繰り返すとともに、2%の物価目標達成時期が原油価格の動向次第で後ずれする可能性があると明言した。
原油安が長期化すれば物価を押し下げる力は一段と強まっていく。このため、日銀は10月末に経済・物価の見通しを引き下げると同時に追加緩和を決断するとの見方が浮上している。