70年談話を発表し、記者会見する安倍晋三首相=14日、首相官邸【拡大】
--談話は、おおむね肯定的に受け止められているように見受けられますが
従来の永田町の文脈からみれば、玉虫色の談話は「各方面に配慮し、内容をしっかりと詰めたもの」と言えるのは確かでしょう。
次代の子供たちに「謝罪を続ける宿命」を背負わせてはならないとし、謝罪を終わらせようとする姿勢を明らかにしたことなどをもって、保守派の方からは支持されているようです。
海外でも評価の声が多くみられますし、「お詫び」を盛り込むなど、中国や韓国への配慮も示したことから、両国が批判を抑えている様子もうかがえます。
しかし、それは中韓が自国の政治状況に鑑みた結果にすぎません。安倍首相は謝罪にこれで終止符を打つつもりでいても、談話がさらなる補償や謝罪の要求を招く可能性はあるのではないでしょうか。
--安保関連法案をめぐって支持率低下もみられるため、持論だった歴史認識の見直しを抑えたとの見方もあります
安保法案への反対論が強いことは事実ですが、法案の必要性を真正面から訴え、国民の賛同を得るように努力するのが筋です。
そもそも、“戦後レジームからの脱却”が安倍首相の政治信念だったはずであり、首相に再登板する前には、河野談話や村山談話の見直しに向けた意欲を示していたはずです。2012年の総選挙で、安倍氏率いる自民党は「日本を取り戻す」と謳い、政権を奪還したのではなかったでしょうか。