会見を終え、会見場をあとにする日銀の黒田東彦総裁=9月15日、東京・日銀本店(早坂洋祐撮影)【拡大】
黒田東彦総裁は政策決定会合後の記者会見で強気の発言を繰り返し、市場に渦巻く追加緩和期待を打ち消すことに終始した。だが、中国をはじめとする新興国経済の減速は、日銀が思い描く日本経済再生に向けた青写真に影を落としている。(米沢文)
「財政・金融政策によって安定的な成長を続けていくだろう」。人民元切り下げや上海株式市場のバブル崩壊によって、世界同時株安を引き起こした中国について、黒田総裁はこう述べ、当局による構造改革と政策対応に期待感を示した。
ただ、中国当局が13日に発表した8月の主要経済統計は、中国経済の減速を改めて印象づける内容だった。設備・建設投資の傾向を示す固定資産投資の伸びが15年ぶりの低水準に陥った。
16~17日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げが判断されるかにも注意を払う必要がある。米国が利上げした場合、新興国経済を支えてきた資金が米国に逆流する可能性があるためだ。