訪日外国人客でにぎわう東京・銀座のラオックス銀座本店【拡大】
東京圏では、港区表参道の商業地が20.2%上昇した。ファッションブランドを中心とした集客力の高いテナントが集積し路面店の店舗需要が増加しているためだ。大阪圏でも、中央区心斎橋が29.7%と大きく伸びた。心斎橋周辺でも訪日外国人が増加しており、店舗の新規出店需要が高まり地価も上昇しているという。
また訪日外国人客による観光需要の増加が住宅地の地価上昇にも波及している。北海道倶知安町の住宅地は3.6%上昇した。隣接するニセコ町には海外からのスキー客が多く訪れるため、別荘地としての需要が拡大した。
こうした地価上昇は、緩和マネーの流入や訪日外国人の急増による要因が大きいため、「ミニバブルではないか」との見方も根強い。7月に中国・上海株式市場で株価が急落し、中国政府が人民元の大幅な利下げに踏み切った。こうした中国経済の変調も、国内の地価動向を読みにくくしている。
中国経済が訪日需要に与える影響について、田村明比古観光庁長官は16日の記者会見で「現在のところ、マイナスの影響は出ていない」と述べた。足元では増加する訪日外国人だが、“中国リスク”への懸念はぬぐえず、当面は中国経済の動向も地価を左右する大きな要因となりそうだ。