政府は、消費税率10%への引き上げに伴う負担軽減策として財務省が示した還付制度案について、平成29年4月の増税時の導入を断念する方針を固めた。政府高官が16日、明らかにした。マイナンバー制度の活用など制度設計が複雑で国民の理解が得られないと判断した。今後は生活必需品の消費税率を低く抑える「軽減税率」の具体策を軸に議論を進め、年末までに結論を出す。
財務省案をめぐっては、9月初旬、安倍晋三首相らが財務省幹部から説明を受け、与党税制協議会での軽減税率の議論とともに財務省案の提示を了承した。一方、財務省は「軽減税率の代替案として与党から求められた宿題にすぎない」(主税局)とし、制度設計を提示直前まで一部の与党幹部に限って進めていた。
しかし、与党税協で財務省案が示されると、マイナンバー制度活用に伴う個人情報の流出や小売店での基盤整備など導入への懸念が続出。大半の世帯で増税負担をまかなえないなどの欠陥も発覚した。報道各社の世論調査でも、反対する声が賛成を大きく上回った。
政府は当初、「与党の協議を見守りたい」(菅(すが)義(よし)偉(ひで)官房長官)として静観する構えだったが、政府高官は16日、「国民の納得を得られないなら導入は無理だ」と明言した。来夏の参院選を前に、国民の反発が大きい財務省案の導入検討を急いでは、安倍首相の政権運営に逆風になりかねないとの判断もあった。
政府は今後、商品ごとに税額や税率を請求書に記載するインボイス(税額票)方式のほか、公明党が代案として検討する現行の帳簿や請求書を使う案や低所得者に一定額を給付する案を軸に議論し、年末の税制改正大綱の取りまとめに向け結論を出す考えだ。=2面に「時間制約」