米西部シアトルのボーイング社を訪れた中国の習近平国家主席(左)=23日(新華社=共同)【拡大】
「信頼構築と懸念払拭の旅」-。中国の習近平国家主席は初の米国公式訪問をこう位置づけ、国際社会から疑いの目を向けられている自国経済の「強さ」や「公平」、経済政策運営の「正当性」をしきりに強調している。中国には、南シナ海での埋め立てやサイバー攻撃への関与の疑いといった問題が山積する。自慢の経済も失速している中での発言は、「世界第2位の経済大国」の指導者としてどこまでまじめに語っているものなのか…。
「輸出刺激のための通貨の切り下げはしない。中国は通貨安競争には反対する」
22日、最初の訪問地であるシアトルでの歓迎会。習氏はこう述べ、市場原理に沿った通貨政策を運営する考えを強調した。中国は8月に3日連続で人民元を切り下げた後、元安が進みすぎた場合にドルを売って元を買う市場介入も行い、世界同時株安を招いた。「普通の国ではない」(麻生太郎財務相)などの批判を浴びた中での発言だ。
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、この習氏の言葉を「国際通貨基金(IMF)や米国財務省に対するメッセージだ」と指摘する。
IMFは11月、加盟国がいざというときに外貨を引き出せる仕組み「特別引き出し権(SDR)」を構成する通貨を見直す。