米西部シアトルのボーイング社を訪れた中国の習近平国家主席(左)=23日(新華社=共同)【拡大】
河野氏は「中国は本来、もっと元を切り下げてもおかしくないが、自らそれを抑制することで、世界経済への協調姿勢を示した。裏返して言えば、SDR入りを認めてくれない場合は切り下げを行うという意味とも取れる」と読み解く。
米中は6月の戦略・経済対話で投資協定を最優先課題に位置づけた。習氏は今回の訪米に、中国の主要企業のトップを引き連れ、米中間投資の活性化を呼びかけた。ボーイング機300機を「爆買い」する契約を交わしたほか、中国国内に合弁でボーイングの工場をつくることでも合意した。
習氏は講演会で、「外国の投資は公平公正に扱う。世界の門戸を閉じることはない」とも訴えた。
ただ、日本企業の中国経済への見方は厳しい。9月のロイター企業調査によると、中国経済の減速や市場の混乱が原因で、今年度の収益が下ぶれると回答した企業は製造業で72%、非製造業で41%に上る。「中国国内の設備投資時期の延期が発生している」(機械)や「中国人観光客の需要の縮小」(食品)などの懸念を持つ企業が多い。
中国は4~6月の経済成長率を7%としているが、この数字にも疑念が向けられている。習氏は講演で「世界の中では依然として高い」と胸を張ったが、23日に発表された9月の中国製造業購買担当者景況指数(PMI)は6年半ぶりの低水準に沈んだ。
第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは「この半年間、中国の政策当局は通貨や株価対策をめぐってつたない立ち居振る舞いをしてきた」と指摘、米中首脳会談を前にした習氏の発言について「米国側にジャブを放った」とみている。(米沢文)