TPP閣僚会合に向かうフロマン米通商代表=3日、米アトランタ(共同)【拡大】
【アトランタ=小雲規生】TPP交渉で米国とオーストラリアが対立していた新薬データの保護期間は決着に至ったが、両国の交渉がギリギリまでもつれたのは、米国が新薬を手がける国内製薬会社の圧力にさらされていたためだ。
保護期間が長くなれば新薬メーカーは開発に用いた試験データを長く独占でき、ジェネリック医薬品(後発薬)との競争を遅らせることができる。新薬メーカー側は「開発資金を回収して十分な利益を上げるには、最低でも8年の保護期間が必要だ」と訴えた。
しかも、世界的な新薬メーカーが名を連ねる米製薬業界は、議会に政策実現を働きかけるロビー活動に積極的で、議員に巨額の献金を行っている。アトランタにも関係者を派遣して監視の目を光らせており、米国の交渉団は製薬会社と連絡をとりながら豪州との着地点を探ってきたという。
一方、製薬会社との関連が薄い豪州や新興国にとっては、安価な後発薬は医療費抑制につながる利点があり、なるべく短い保護期間で後発薬の普及を後押ししたい狙いがあった。
米豪は、TPP交渉を漂流させないことで折り合ったが、新薬メーカーや高額な治療費を負担している難病患者らから批判が噴出する可能性もある。