記者会見する日銀の黒田総裁=7日午後、日銀本店【拡大】
日銀の黒田東彦総裁は7日、金融政策決定会合後の記者会見で「企業の価格設定行動は昨年と様変わりし、価格の引き上げは続いている」と日本経済がデフレ脱却に近づいているとの認識を示し、追加緩和を牽制(けんせい)した。同日の決定会合では大規模な金融緩和の継続を決めた。
「デフレマインドは変わった」
黒田総裁の任期は2013年4月~18年4月で、今はちょうど折り返し地点となる。「2%の物価(上昇率)目標の達成には道半ばだが、長きにわたって続いていたデフレマインドはこの2年半でかなり変わった。デフレ状況ではなくなった」との認識を示した。
8月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は低下しマイナスに転じたが、食料品などの価格は「昨年4月以降と異なって着実に上昇してきている」と強調する。
昨春は消費税増税後の需要低迷で値上げの動きが撤回されたが、黒田総裁は、今年は企業の価格引き上げが夏以降も続いているとの認識を示した。
「(10月末に公表する)経済・物価見通しのみで物価の基調を判断することはない」
日銀は16年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)の見通しを従来の1.9%から小幅下方修正する見通し。市場では2%の物価目標の達成に向けて追加緩和期待が盛り上がるが、黒田総裁は「物価の基調はさまざまな指標をみて総合判断する」と語った。