記者会見する日銀の黒田総裁=7日午後、日銀本店【拡大】
「完全雇用に近づく中で、賃金は加速余地がある」
物価動向に大きな影響を与えそうなのが、企業の継続的な賃上げだ。黒田総裁は「賃金のさらなる上昇が非常に重要」と企業に呼びかけた。
円安株高で上場企業は好業績が続く。8月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.02ポイント上昇して1.23倍と23年7カ月ぶりの高水準となった。
黒田総裁は「企業収益は過去最高水準で推移し、人手不足がさらに広がっている」と来年の春季労使交渉での賃上げに期待を寄せた。
昨年10月末の追加緩和では急ピッチの円安が輸入物価の高騰を招いたが、黒田総裁は「企業収益が改善し、雇用も改善し、賃金も上がる中で緩やかに物価が上昇して2%に達することを期待している」と述べた。